フランスのスーパーを覗くとそこには様々な種類の桃やスモモが見える。
山盛りに積まれてた果物は圧倒的な存在感があるような気がする。
山盛りに積まれた野菜や果物の中から自分のお気に入りを探すのがフランススタイル。
一つ一つ丁寧に包まれ並べられている日本のスタイルとはまた違う。
そんな果物の中に一段と目を引き付ける黄色くて丸っこいスモモがある。
それは…ミラベル。
フランスの東に位置する、キッシュなんかでも有名なロレーヌ地方の名産品。
とっても繊細で新鮮な生の状態で口にする機会はなかなかない。
タルトだったりシロップ漬けがもっぱらだ。水分を多く含むからドライフルーツにもあまり向かないらしい。ナンシーやロレーヌに住んだことがある人なら一度はミラベルタルトやミラベルジャムを食べたことがあるだろう。ミラベル祭りがあるぐらい地元民の愛されているスモモ。ちなみにミラベルは西洋プラムや西洋スモモと日本では呼ばれることもあり、ヨーロッパ限定の貴重な果物だ。
フランスの八百屋に聞けば「ミラベルは黄金色の上品な優しい甘さが特徴なのさ。でもシーズンがとっても短い。ミラベルの時期は夏の終わりで大体、6週間程度だね。」と言う。
パティシエに聞けば「ミラベルはお菓子との相性がとってもいいの。だからタルトにしてもムースやパイにしてもシンプルにジャムにしたって色もいいしなによりやさしい味のバランスが抜群なのよ。」と言う。ミラベルはフランスで愛されている魅惑の果物!
そんな太陽のようなまん丸のミラベル、実は元々中国で育てられていた果物。
15世紀頃、フランスの偉い人が持ち込んだのが始まりだとか。今やロレーヌ地方が世界で約80%のミラベルを育てているそう。
ミラベルってどうしてミラベルなの?と聞くと全員話しがバラバラだった。
これは「ミラベル」という名前の誕生秘に様々な説あるに違いない。。。
一人目は「イタリア語の香りを意味するmyronと木の実を意味するbalanosがくっ付いんたんだ。昔はmirabolanoとか17世紀くらいにはmirabellaって呼んでたらしいよ。」と言う説をあげた。
二人目は「美しいと言う意味があるラテン語mirabilisから来ています。」と言う説を説明した。
三人目は「 ミラベルは偉い人の名前から来てるのよ。あっでも果物はmirabelle で偉い人の名前はmirabelね。少し書き方が違うのよ。」と別の説を語った。
四人目は「町だよ町。南仏にミラベル(mirabel)っていう小さな町があってよ。1649年くらいからミラベルを育ててたらしいぞ。」とはたまた違う説を披露した。
とにかく愛されていることはよく分かった。
そういえば八百屋が言ってたな…
ロレーヌ地方では1762年から正式に特産品として栽培したんだって。
ブドウネアアブラムシっていう虫のせいでブドウが全滅したことがあって1920年からダメになったブドウ畑はミラベル畑に変わったらしい。時代が進み新しい食のスタイルに変わると悲しいことにミラベルは忘れられてしまった。フランス人に愛される果物となったのは1988年に若い農園経営者が「ミラベルを守らなきゃ!」と思い再びミラベルの栽培を盛んにしたことがきっかけなんだとか。
食べた人の心を癒すお日様のようなミラベルご賞味あれ!